寒い季節がようやく終わり、花と陽光にあふれる春がもう目の前にやってきましたね。
さて、春と言えばどんな花を思い浮かぶでしょうか?やはり春の訪れを実感するのは、桜の開花ですね。春の気配を梅の香りに感じ、早咲きの河津桜や緋寒桜に春の近さを、満開のソメイヨシノに「春が来たんだ!」と実感する。花の移ろいで季節の流れを感じる楽しさは、春そのものの訪れの喜びにも勝るものです。
さて、英語で「花」とは何というでしょうか。すぐに思いつくのは “Flower”です。では桜は?”Cherry flowers”とは言わず、“Cherry blossoms”ですね。同じように、梅は “Plum blossoms”、桃は “Peach blossoms”となります。なぜ blossomsなのでしょう?英語では、木にたくさん咲く小さな花を Blossomsと呼び、チューリップやバラのようなある程度の大きさのあるものを Flowersと呼んでいます。
CherryはサクランボなのでCherry blossomsだとサクランボの花になってしまいそうですよね。梅の実はPlumなのでPlum blossoms、モモはPeachなのでPeach blossomsとなります。英語圏では、これらの植物は花を愛でるためのものというよりも、果樹として認識されているようです。日本では、桜は果実よりも花が何より重要です。同じ木なのに、認識のされ方が違う点が興味深いですね。代表的な桜の品種であるソメイヨシノが実を結ばないことも影響しているのかも知れません。樹の名前としては、Cherry tree、Plum tree、Peach treeと呼ばれます。
花ではないですが、他の特殊な例も挙げると、ブドウの樹は”Grape vine” と言います。Vineはつる性の植物のつるのことを指しますが、Vineyardと言ったらブドウ畑を意味します。しかも、ワインを作るためのブドウの畑です。WineとVine、似ていませんか?Vineの語源はWineで、ブドウは食べる果物というよりも、ワインの原料とみなされているのです。
植物の名前の付け方は、洋の東西を問わず、植物と人々との関わり方に大きく影響を受けています。それほど身近で大切な植物たちが息を吹き返し、一層身近に感じられる季節がやって来ますね。「花粉さえ飛んでいなければなあ」とぼやきたくなる方も、春の訪れを楽しみましょう!
<植物関連お役立ちワード>
種:seed
葉っぱ:leaf(複数形 leaves)
茎:stalk / stem
つぼみ:bud
実:fruit
芽:shoot
根っこ:root
花びら:petal
めしべ:pistil
おしべ:stamen
花粉:pollen
幹:trunk
枝:branch
花粉症:hay fever (pollen allergy)
光合成:photosynthesis