4技能(Listening, Speaking, Reading, Writing)という言葉よく聞かれるようになりましたが、その技能を伸ばそうとネットなどで調べてみると、実にまゆつばものの情報で溢れかえっています。ある人は「リスニングを伸ばす近道は多読だ!」とか、またある人は「文法をきちんとすることで~」など、それっぽく語られてることがままあります。しかし至極単純な話、リスニングを鍛えるには当然リスニングが中心です。(そもそもよく考えてみれば、リスニング「技能」なのですから技術を磨かずして伸びるわけなんてないのですが。)

リスニングで必要な力というのは具体的に分けると、①単語の正しい発音認識、②単語の意味認識、③一文ごとの意味認識、④理解した情報の記憶保持、が挙げられます。それぞれに正しくアプローチをしていくことで総合的なリスニング能力アップにつながっていきます。

①単語の正しい発音認識

例えば"women"を「ウーメン」と認識していたら、どんなに平易な文章であっても理解できません。単語と単語の結びつきレベルでも、"white tiger"などのリンキング(単語同士の音のつながり)の発音の法則がわかっていないと、"why tiger"なんて摩訶不思議な英語に変換されてしまいます。まずは単語ごとの音、そしてリンキングのルール(子音+母音、類似子音同士のつながり、母音+母音)の知識を押さえておきましょう。

②単語の意味認識

次は単語の意味認識です。さてここで急ですが問題です。"leave"はどういう意味でしょうか。この単語、基本レベルにありながら実に多くの日本語に訳されるものの一つです。「~を去る、(~へ)出発する、~を置いていく、~のままにする、~を放っておくetc」などが例に挙げられるでしょうか。これを一単語につき一つの日本語だけで覚えていると、 "He left his home."も"He left his umbrella."も"He left the door open."も"He left his baby in the car."も、日本語に訳す時にはいろいろな表現を駆使しなくてはなりません。実のところはleaveには「あるものをそのままにして去る」というコアイメージがあります。上記のような日本語をいくつか覚えた後、「彼は(家を、傘を、ドア開けて、車の赤ちゃんを)そのままにして行っちゃった~的な意味?」ぐらいでいいです。単語はざっくりした意味くらいでなんとなくとらえておきましょう。ただし初見やまだ覚えていない単語については、まず1つでいいのでその意味を対訳的に覚えておくと脳を整理させるのに良いです。初めから色んな意味をもらさず覚えようと決してがんばりすぎないのがコツです。(前ブログ、「脳の仕組みをいかした英語習得」を参照。)

一文ごとの意味認識

これはもういわずもがな、みなさん多くの人が実践している取り組みかと思われます。自然な会話の中で、"The hunter killed the bear."と"The bear killed the hunter."とがごちゃごちゃになってしまうと、全く別ものの話になってしまいます。できることなら自分で認識できるくらいゆっくり再生される音源があり、リーディングスクリプトがあるものを使い、音と意味が正しく一致しているかを確認できるリスニング教材を使用できると良いです。その際、難しすぎるテキスト(単語がわからないものが多々ある)は避けた方がいいです。またできることなら、自分自身の興味にあったものをやるのが非常におススメです。

④理解した情報の記憶保持

一見英語力そのものと関係なく見えるかもしれませんが、案外これ、超大事な能力です。外国語で理解したことは自分で思っている以上に記憶に残りにくいものです。TOEICや英検、TOEFLなど、試験が難しくなればなるほどこの力が必要になってきます。こういった力は、Discovery Channel、Animal Planet、National Geographicなどなど、ナレーションがあるドキュメント番組を見ることで楽しく訓練できることが多いです。ざっくばらんに言うとこれはもう習うより慣れろといったところですので、とにかく慣れるまであまり苦を感じずに続けられる方法を探してみましょう。

以上がリスニングで必要な力となります。巷では「臨界期が5歳までだから~」とか、「英語の周波数は日本語と違うから~」などと科学的に見せかけつつ学習者を絶望に突き落とすことを言う人がいます。もしそれが理由で英語が聞けないのであれば、バイリンガルになれる人なんてほぼ皆無です。そんなまやかしを聞いて心をくじかれるよりも、英語を聞いて少しでも力をつけた方が本当の利になります。ぜひご自身のリスニングのどこに問題がありそうか、見つめなおしてみてください。そしてそれがわかったらそのトレーニングをひたすら積んでいってください。トレーニング後のパワーアップした自身を想像し、脳にご褒美をあげながらリスニングを伸ばしていきましょう。

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