今回は4技能育成の中の第2部、スピーキング編です。スピーキング能力、つまり英語を話す力というのは日本人の多くの人が上手くできずもどかしく感じているポイントの一つです。相手の話していることがわかったとしても自分の言いたいことが言えなかったり、がんばって英語を話してみてもその後に聞き返されたりすると、なんと自分の英語はつたないのだろうと思い口ごもってしまうなど、みなさんはそんな経験をしたことがありませんか。そんな経験をもうしたくないという人に向けて、今回はスピーキングに焦点を当ててトレーニング法などを紹介していきたいと思います。
まずスピーキング能力とはそもそも何なのでしょうか。端的に挙げると次のような力になります。①正しい単語の発音知識、②単語を正しく使う力、③文章を構築する力、④③で考えたことを口から発信する力、以上のような力が必要になります。
①正しい単語の発音知識:英語が話せないと思っている人は自分の発音がダメなのではないかと考えることが多いかと思います。たしかに"allow"を「アロー」だとか、"McDonalds"を「マクドナルド」と言っているようですと、これは全く伝わりません。"アラゥ"や"マッ・ダァナーズ"などのように実際の発音がどのようにされているのかを意識することでのみこれは改善されていきます。知識として1個1個直していく必要があるので、学習する際には思い込みで発音を覚えるのではなく、正しい音を押さえておいてください。そのため教材選びでは発音がわかるものを選ぶ必要があるものをなるべく使えるといいです。また一単語ごと確認したいときなどは、ネットでweblioなどで単語を調べると、クリックをするだけで発音を教えてくれるので便利です。https://ejje.weblio.jp/
②単語を正しく使う力:例えばallowは「~を許す」という意味だと覚えて、"We fought but we allowed each other at last.(私たちは争ったが、最後にはお互いを許した。)"というつもりで言っても、このような言い方は伝わりません。allowの使い方は、"Do you want to use the dictionary? OK, I allow you to use it.(辞書使いたい?いいよ、使うわせてあげる。)"や、"He was allowed to enter the room.(彼は部屋に入るのを許された。)"などのように語法を正しく使わなければいけません。単語の使い方についてはまず例文やスクリプトをそのまま真似することで自分のものにしていきましょう。
③文章を構築する力とは言い換えると、「こんな時なんて言ったらいいのかな?」と考えることです。例えばその辺でふと周囲を見渡し、"An old woman is crossing the street."と独り言で呟いてみたり、さらには"The old woman with a heavy bag is crossing the street slowly."とちょっとした表現に厚みを入れてみると表現力がついていきます。その他にも、今日一日の思い出をまとめる(過去形の勉強)、今日1日の予定を挙げてみる(未来形の勉強)など、違うトピックをお題に変えてみるだけで、実にいろいろな文法事項を整理して言うことができるようになっていきます。隙間時間に独り言英語を使ってみることで、表現力がついていきます。「こんな時はこんな風に言えばいいのかな?」といった具合に、ぜひ試していってみてください。
④③で考えたことを口から発信する力というのは、実は一番大変なところになります。数年前に流行ったドラゴンイングリッシュや最近はやっているコーチング英語はここをとにかく鍛えさせています。定型表現を型として覚えて、それをひたすらアウトプットさせる力になります。例えば、"What you have to do is~."という表現を型として覚えすらすら言えるとそれはそれはかっこよく見えることでしょう。またそれを言うためには口の筋肉のトレーニングもしなくてはなりません。ろれつが回るようにすらすら言ったり、英語を話すときに使う口の筋肉などの使い方を馴染ませる必要があります。こういった表現を上手く言えるようになると、
レベル1:(何かを指しながら)"What you have to do is this."(簡単な単語を入れる)
レベル2: "What you have to do is hold your pencil and spell it." (少し文章を足してみる)
レベル3:"What we are going to do is what we want to do." (型を崩して違う語を使って言ってみる)
上記のような言い回しができるようになってきます。レベル3くらいの表現がスラスラ言えるともはやあなたはセミネイティブレベルとしてかっこいい表現力を使いこなしていることでしょう。またその他、こういう時にはこんな表現をするというものを少しでも多く知っておくことで、いわゆる「ネイティブらしい」表現になっていきます。
また正しい発音やこなれた表現をスラスラ言うには口の筋肉を慣らさなくてはいけません。早口言葉を練習するような気持で、英語を口から発信してみてください。少しずつ口に馴染んできて、発話が呪文のようにスラスラ出てきた頃にはとても上手な発音・表現力が身についていることでしょう。カラオケなどで洋楽歌うのも良いトレーニングにもなります。
以上のように、スピーキング能力を鍛えるためには単語や表現を使いこなすことが必要になりますが、とにかく言葉を発してみることから始まります。英語を使うことから逃げずにいられるほど確実にスピーキング力は伸びていきますので、積極的に話していけるよう努めていきましょう。